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包丁研ぎとは?自分で研ぐか、プロに任せるかの判断ガイド

まな板の上に置いた丸ごとのトマトと三徳包丁。奥のカウンターには水を含ませた砥石と水の器、たたんだ布巾が並ぶ明るい台所 キッチン用品
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包丁研ぎは、普段の切れ味なら中砥石1本で自分で戻せます。刃こぼれや形崩れのある包丁、片刃の和包丁、波刃、セラミック包丁はプロやメーカーに任せるのが安心です。

研ぎ器はその間をつなぐ道具です。平日の気力に合わせて選び分けてください。

わたしも、切れない包丁で鶏肉の皮と格闘しながら「研ぐ?頼む?研ぎ器でいいの?」と何度も手が止まりました。この記事では、老舗刃物店や包丁メーカーが公開している情報をもとに、その迷いをほどく判断材料と、初心者向けの研ぎ方5工程を整理します。

砥石で研ぐ流れは「砥石を濡らす→角度を決める→片面を研ぐ→かえりを確認→反対面を整えて洗う」の5工程です。慣れないうちは片付けまで含めて15分前後を見ておくと焦らない、というのがわたしの感覚です(時間は砥石の種類や包丁の状態で変わります)。

包丁研ぎは自分でやる?プロに頼む?判断基準を先に整理

迷ったときは「包丁の状態と種類」と「その日の自分の気力」の2つで決めるのがいちばんシンプルです。研ぎ器・自分で砥石・プロ依頼は、どれが上というより役割が違います。

研ぎ器・砥石・プロの役割を表で比べる

三つの選択肢を、できることと向いている場面で並べました。

選択肢できること向いている場面気をつけたい点
研ぎ器(シャープナー)刃先を一時的に整える(木屋の説明では、溝に通すタイプは刃を「こする」作業)平日の「今日だけ何とかしたい」日方式で仕上がりが違う。効果は長持ちしにくく、こまめに使う前提
自分で砥石刃先を削って切れ味を立て直す刃こぼれのない家庭用の両刃包丁角度を保つ練習が要る。研ぎすぎると刃が減る
プロに依頼刃こぼれや形崩れの修正まで相談できる欠けた包丁、片刃の和包丁、波刃、大切な包丁預けている間の段取りが必要。料金や受付方法は店ごとに違う

依頼の受け付け方や料金はお店ごとに違い、改定もあります。最新は各公式で確認してください。

「上下」ではなく「役割」で考えると迷いが減る

研ぎ器はその場をしのぐ道具、砥石は切れ味を立て直す道具、プロは家庭では直せない状態まで任せられる窓口です。

役割が違うので、どれか一つに決める必要はありません。平日は研ぎ器でしのぎ、ときどき砥石かプロで立て直す。この組み合わせを基本にすると、ぐっと気がラクになります。

わたしは「疲れて帰った日でも迷わないか」で線を引いた

わたしは「失敗したらどうしよう」と考えはじめると、砥石を出すこと自体が億劫になります。迷っている時間そのものが、疲れた日の気力を削っていくんですよね。

だから最初に、いちばん使う両刃の三徳包丁は自分で、少しでも不安がある包丁はプロへとルールを決めました。判断をルールにしておくと、包丁が切れなくなっても立ち止まらずに済みます。


包丁が切れなくなる原因とは?研ぐ=刃先を削って形を作り直すこと

包丁が切れなくなるのは、使うたびに刃先が丸まっていくからです。包丁研ぎは、その丸まった刃先を砥石で少しずつ削り、鋭い形に作り直す作業です。

刃をピカピカに磨くイメージを持たれがちですが、本質は「形を作り直す」こと。ここを押さえると、研ぎ器と砥石の違いが分かりやすくなります。

老舗刃物店が説明する「まな板の衝撃」

2023年11月に三越伊勢丹オンラインストアが公開した特集で、東京・日本橋の老舗刃物店「木屋」の小峰裕太さんが、切れ味が落ちる理由を説明しています。

それによると、包丁がまな板に当たるたびの衝撃で、刃先が少しずつ丸くなっていくそうです。りんごの皮むきやごぼうのささがき(鉛筆を削るように薄くそぎ切りにすること)のように、まな板を使わず空中で切る作業では、刃先はほとんど丸くならないとのこと。

毎晩まな板の上で刻んでいれば、切れなくなるのは当たり前。包丁が悪いわけでも、自分の使い方が下手なわけでもないと分かって、少しホッとしました。

プラスチックのまな板は刃先が減りやすいという説明も

業務用の調理器具を扱う「堺刀司」の研ぎ方ページでは、プラスチック製のまな板は木のまな板よりも刃先が摩耗しやすく、切れ味も早く落ちると説明されています。

漂白しやすい、乾きやすいという理由でプラスチックを選ぶのは、共働き家庭ならごく自然な判断です。「切れ味が落ちるペースは早めかも」と知っておくだけで、研ぐタイミングの見積もりが変わります。

「切れない包丁は寿命」は思い込みだった

正直に言うと、わたしは長いあいだ「切れなくなった包丁は寿命」だと思い込んでいました。切れ味が落ちるたびに、なんとなく買い替えを考えていたんです。

でも多くの場合、刃先が丸まっているだけ。研げば戻るものを、疲れているせいで「もう無理」と決めつけていたんだなと、今は思います。


包丁を研ぐタイミングはいつ?トマトと玉ねぎがサイン

分かりやすい目安は、トマトがつぶれて切りにくくなったときと、玉ねぎを切ると目にしみるようになったときです。どちらも、木屋の小峰さんが挙げているサインです。

玉ねぎで目にしみるのは包丁のせいかもしれない

切れない包丁は玉ねぎの繊維を断ち切れずにつぶしてしまうので、目に刺激がくる、という説明でした。

玉ねぎで涙が止まらない日は、わたしの疲れではなく包丁のせいだったのか…と妙に納得しました。ここに気づけるだけで、自分を責める理由が一つ減ります。

夕飯の支度中に出る、そのほかのサイン

トマトと玉ねぎ以外にも、夕飯の支度中に気づけるサインがあります。刻む作業が重く感じるなら、みじん切りを早くする方法|包丁の動かし方とそろえるコツもあわせて見てみてください。

  • 鶏もも肉の皮が刃に引っかかって、ずるっと滑る
  • 長ねぎを切ったら、つながったままアコーディオンのようになる
  • かぼちゃや大根に、ぐっと体重をかけないと刃が入らない
  • 肉や魚の切り口がギザギザになる

わたしがいちばん心が折れるのは鶏肉の皮です。疲れて帰ってきて、まな板の上で皮が逃げ回るのを見ると、全部投げ出したくなります。

かぼちゃに体重をかける場面は、刃が滑ったときのけがにもつながりやすいところ。この「イラッとする回数」が増えてきたら研ぎどき、と考えるようにしています。

研ぐ頻度は「月に数回」から「サインが出たら」まで幅がある

研ぐ頻度は、情報源によって少し違います。堺刀司のページでは、少なくとも月に数回は研ぐよう勧めています。

一方、木屋の小峰さんは、こまめに研ぐ必要がある包丁ほど刃が減って細くなり、寿命に差が出ると話しています。研ぐことは削ることなので、回数を増やせばいいとも限らないわけです。

わたしは、使う量と包丁の素材で適切な頻度は変わると受け取っています。毎晩しっかり料理する家と、平日は惣菜や冷凍食品が中心の家では、刃の減り方がまったく違うからです。

「月に◯回」と決めると、守れなかった自分を責めがち。わたしは「サインが出たら研ぐ」くらいのゆるい基準にしています。

まな板の上でつぶれたトマトと、きれいに切れたトマトのスライスを並べて比べている様子
※画像はAIによるイメージ

包丁研ぎ器(シャープナー)と砥石の違いは?

溝に通すタイプの研ぎ器は刃を「こする」道具、砥石は刃先を「削る」道具です。ここが、わたしにとっていちばん大きな認識の転換でした。

木屋の説明:溝に通す研ぎ器は「こする」、砥石は「削る」

木屋の小峰さんは、溝に包丁を通すタイプの研ぎ器は刃をこすっているだけで、砥石で刃先を削る作業とは別の工程だと説明しています。

そのため研ぎ器で一時的に切れ味は戻るものの、すぐにまた切れなくなる、とのこと。研ぎ器で十分だと思い込んでいたわたしには、かなりの衝撃でした。

藤次郎の説明:研ぎ器は「頻繁に使う」ことが前提

新潟・燕三条の包丁メーカー「藤次郎(TOJIRO)」の研ぎ方ページは、別の角度から説明しています。研ぎ器を使う場合は頻繁に研いでいないと刃先が丸くなりすぎて、良い切れ味を取り戻せない、という趣旨です。

そして、たまにしか研がないなら砥石のほうが効果がある、とも書かれています。研ぎ器は「丸まりきる前に整える道具」であって、すでに切れなくなった包丁を立て直す道具ではない、ということですね。

回転式・電動・棒状など、方式によって当たり方は違う

ひとくちに研ぎ器といっても、溝に通すタイプのほかに、回転する砥石を使う手動・電動のもの、棒状のシャープニングロッド、表面にダイヤモンドやセラミックを使ったものなどがあります。

方式によって刃への当たり方も、使える包丁の種類も違います。手持ちの研ぎ器が「刃先を整える」ためのものなのか、「削る」ことまで想定しているのか、対応する包丁はどれか。ここはメーカーの説明書で確かめるのが確実です。

研ぎ器だけで続けると、結局プロ頼みになりやすい

情報をつなげて考えると、研ぎ器だけに頼り続けるのは遠回りになりやすいと感じました。藤次郎の説明どおり刃先が丸くなりすぎると、研ぎ器では取り戻せない状態になっていきます。

そこまでいくと形を作り直す工程が必要で、それには目の粗い荒砥石が要るとされています。家庭で揃えるのはハードルが高く、結局プロに頼むことになりがちです。

とはいえ、研ぎ器を手放す必要はありません。疲れた平日の夜に数回通して、今日の夕飯が少しラクになるなら立派な選択です。


自分で研いでいい包丁は?ステンレス・鋼・セラミックで見分ける

家庭で自分で研ぎやすいのは、両刃(両面に刃がついている)で、刃こぼれのないステンレスや鋼の三徳包丁・牛刀です。刃の形が特殊なもの、すでに欠けているもの、セラミック包丁は、無理をせず相談するのが近道です。

ステンレスと鋼(ハガネ)は、研いだあとの手入れが違う

家庭で多く使われているのはステンレスの包丁です。一般に錆びにくいので、研いだあとの手入れに神経質にならずに済むのが利点です。

鋼の包丁は一般に錆びやすいとされています。研いだあとに水気が残ると錆びの原因になるので、洗ったらすぐ刃と柄まで拭き切るひと手間が欠かせません。

疲れた日に「拭き忘れて錆びさせた」と落ち込まないためにも、最初の1本はステンレスの三徳包丁から始めると気がラクです。

セラミック包丁は、一般的な砥石では研ぎにくい

軽くて錆びないセラミック包丁を使っている方も多いと思います。ただ、セラミックはとても硬い素材なので、一般的な砥石では研げないとされることが多いです。

研ぐ場合はダイヤモンドを使った専用の研ぎ器が必要になったり、メーカーの研ぎ直しサービスを案内していたりします。自分で研げるかどうかは、包丁と研ぎ器それぞれのメーカーの説明で確かめてから判断してください。

わたしはセラミック包丁を手に取ったとき、真っ先に「これって研げるの?」と固まりました。素材で研ぎ方の入り口が変わる、と知っておくだけで、ムダな道具を買わずに済みます。

片刃の和包丁と波刃は最初からプロに相談

出刃包丁や柳刃包丁のように、片側だけに刃がついた和包丁は、両刃とは研ぎ方の考え方が違います。慣れないうちに自己流で研ぐと、形を崩してしまうことがあります。

パン切り包丁のような波刃も、一般的な平らな砥石では研ぎにくい形です。こうした包丁は、最初から刃物店やメーカーに相談するのが無難です。

メーカー保証は「鋭すぎる研ぎ」で外れることがある

藤次郎のページでは、メーカーが設定した刃先の角度より鋭く研いだ場合、メーカー保証が受けられなくなると書かれています。

「もっと切れるように」と攻めた研ぎ方をすると、保証の対象外になりうるということ。保証期間中の包丁は、研ぐ前にメーカーの案内を一度見ておくと安心です。


初心者が自分で研ぐなら何が必要?中砥石1本から始める

家庭で始めるなら、1000番前後の中砥石が1本あれば十分です。木屋の小峰さんは、プロの研ぎ師や料理人は3〜4種類の砥石を使うけれど、家庭では中砥石ひとつで十分だと話しています。

堺一文字光秀の解説も、初めてならまず中砥石が1つあれば大丈夫で、番手は#1000前後としています。堺一文字光秀の解説でも、迷ったら中砥石から、と勧めています。

最初の1本は、#1000前後の中砥石を単品で選ぶと迷いません。セット品は面直し砥石や仕上げ砥石まで付いてきますが、普段の切れ味を戻すだけなら中砥石1本で足ります。選ぶなら日本製の#1000が扱いやすいとされています。裏返して使う両面タイプより、片面のほうが置いたときに安定するぶん、研ぐ角度を保ちやすい形です。

砥石は「番手」で役割が分かれる

砥石は、表面の粒の粗さ(番手)で役割が変わります。番手は「#1000」のように書き、数字が小さいほど粗く、大きいほど細かくなります。

堺一文字光秀の解説では、次のように分類されています。

  • 荒砥石(#80〜#400):刃こぼれや、刃の形を直すときに使う
  • 中砥石(#1000前後):刃をつける、普段の研ぎの基本になる
  • 仕上げ砥石(#2000以上):刃先をさらに細かく整える。小刃引き(刃先にごく細い二段目の刃をつけること)や、和包丁の裏押し(片刃包丁の平らな裏面を整えること)に使う

家庭で「切れ味を戻す」だけなら、真ん中の中砥石の出番がいちばん多い、と覚えておけば十分です。

コンビ砥石や研ぎホルダーという選択肢

堺一文字光秀の砥石の解説では、家庭用の両面砥石も候補として挙げられています。収納が1本分で済むのは、狭いキッチンだと地味にありがたいポイントです。

刃先の角度を固定する「研ぎホルダー」という道具も紹介されています。角度を一定に保つのが研ぎの最大の難関なので、慣れないうちは道具に頼るのも一つの方法です。

砥石の「下準備」が要るタイプか、買う前に確認

砥石には、使う前にしばらく水に浸しておくタイプと、表面に水をかけるだけで使えるタイプがあります。どちらなのか、どのくらい浸すのかは製品の説明書に従うのが確実です。

ここを知らずに買うと、「研ごうと思ったのに、まず待ち時間がある」と出鼻をくじかれます。わたしが「今日はやめておこう」となりかけたのも、まさにこの待ち時間でした。平日の夜に少しだけ研ぎたい人は、準備の手間が少ないタイプかどうかを選ぶ段階で確かめておくと、続けやすさが変わります。

濡らした布巾の上に置いた砥石と、水を張ったボウルが並ぶシンク横の作業スペース
※画像はAIによるイメージ

包丁の研ぎ方は?初心者向けの基本5工程

家庭で一番多い両刃の三徳包丁なら、流れは次の5工程です。細かい手の動きは各メーカーが図解や動画で公開しているので、合わせて見るのがおすすめです。

両刃の三徳包丁を研ぐ5工程

1. 砥石を説明書どおりに濡らし、濡らした布を敷いた上に置く
2. 包丁を砥石に当てる角度を決める
3. 刃元から切っ先まで、場所をずらしながら片面を研ぐ
4. 刃先に「かえり」が出たら、反対の面も研ぐ
5. かえりを取り除き、包丁と砥石を洗って水気を拭く

砥石の下に濡らした布を敷くのは、研いでいる最中に砥石が動かないようにするためです。堺一文字光秀のページでも、台に直接置くと砥石が動いて危ないと注意しています。

木屋の小峰さんは、刃を4つに区切るイメージで、位置をずらしながら研ぐとよいと話しています。研ぐ順番は刃元からでも切っ先からでも構わないそうです。

「45度」と「10〜15度」は別々の角度

研ぎ方を調べていて、わたしがいちばん混乱したのが角度でした。ある説明には「45度」、別の説明には「10〜15度」とあって、どっちなの?と手が止まったんです。

よく読むと、これは別々の角度の話でした。

  • 45度:上から見たとき、砥石の長い辺に対して包丁を斜めに置く角度
  • 10〜15度前後:横から見たとき、刃を砥石からどれくらい立てるか

木屋の説明では、包丁を砥石に対して45度に置き、峰(包丁の背)を4〜5ミリほど浮かせるとしています。堺一文字光秀の研ぎ方の解説も、包丁を砥石に当てる角度は砥石に対して45度としています。一方で藤次郎の研ぎ方ページは、砥石の表面に対する刃の角度を10〜15度に保ち、砥石と峰の隙間を7〜10ミリほどあけると書いています。45度は砥石に対する包丁の向き、10〜15度は刃の立て方で、別々の角度の話です。

つまり「斜めに置いて、背を少し浮かす」。二つを分けて考えると、一気にイメージしやすくなります。

研げたかどうかは「かえり」で判断する

研いでいくと、研いでいる面とは反対側の刃先に、金属がめくれたような小さなざらつきが出てきます。これが「かえり」です。

木屋は「カエリ」、堺一文字光秀は「かえり」、藤次郎は「バリ」と言い方は違いますが、いずれも刃先まで研げている目安として扱っています。何度こすってもかえりが出ないなら、刃先まで砥石が当たっていないということです。

仕上げ・試し切り・砥石のケアまでが1セット

木屋の手順では、最後に砥石の木台に刃を軽く当ててかえりを取り、包丁を水洗いして刃と柄の水気を拭き取って完了としています。

最終確認は試し切りがいちばん分かりやすい方法です。トマトの皮に刃を当て、力を入れずにすっと入るかを見てみましょう。

砥石側のケアも忘れずに。藤次郎や堺刀司のページでは、砥石は使ううちに真ん中がへこみ、その状態で研ぐと刃にゆがみが出るため、表面を平らに保つよう勧めています。面を直す方法は砥石ごとに案内が違うので、手持ちの砥石の説明を確認してください。


初心者がつまずきやすいのは?実際に研いで分かった失敗と注意点

最初は「手順どおりにやれば、すぐ切れるようになる」と思っていました。実際は、つまずいたのは手順ではなく「かえりの感触」と「角度のぶれ」の2つ。そこに、研ぎ慣れてきたころの「鋭くしすぎ」が加わります。

ここからは、家にある両刃のステンレス三徳包丁を、浸水が要るタイプの中砥石で研いだときの話です。

「かえり」がどれなのか分からなかった

最初の壁は、かえりの感触でした。説明では「ざらつきが出る」とあるのに、指先で触っても、出ているのかいないのか確信が持てなかったんです。

不安で何度も手を止めて触るたびに、包丁を持ち直すことになり、角度がリセットされていきました。今思えば、峰側から刃先へ向かって軽く触れれば十分で、刃に沿って指を滑らせるのは危ないうえに分かりにくい触り方でした。

「数往復ごとに確かめる」と決めておけば、角度を保ったまま研ぎ続けられたはずです。迷いが手を止め、手を止めるたびに角度がずれる。研ぎでも、疲れた日の夕飯と同じことが起きていました。

押すときに手首が上がり、引くときに下がっていた

1回目の仕上がりは、正直「あれ?」でした。研いだつもりなのに、トマトに当てると少し引っかかったんです。

振り返ると、包丁を向こうへ押すときは力が入って手首が持ち上がり、手前へ引くときは力が抜けて手首が下がっていました。つまり往復のたびに、刃を立てる角度が変わっていたわけです。

藤次郎のページで注意されている「しゃくり研ぎ」、つまり力の入れ方が変わることで角度がぶれ、かえって刃先が丸くなる状態にそのまま当てはまっていました。2回目は速さを捨てて、手首ではなく肘から腕ごと前後に動かす意識に切り替えました。指を添える位置は刃のすぐ近くなので、ゆっくり動かすことがそのまま安全策にもなります。

やり直したあとの試し切りでは、トマトの皮の上で刃が滑らず、すっと入りました。その日は鶏もも肉の皮もすんなり切れて、支度の途中のイライラが一つ消えたんです。研ぎは週末の小さな作業なのに、平日の気力の減り方まで変わる。やってみるまで想像していなかった変化でした。

薄く鋭く研ぎすぎると、欠けやすく長持ちしない

研ぎに慣れてくると、もっと鋭くしたくなるものです。でも堺一文字光秀の解説では、刃を寝かせて薄く研ぎすぎると刃先がもろくなって欠けやすく、切れ味も長持ちしにくいと説明されています。

同じ解説では、薄く平らに研いだ刃は食材が貼りつきやすいとも。きゅうりやじゃがいもが包丁にぺたぺたくっつくのは地味なストレスです。

切れ味と耐久性を両立させる「ハマグリ刃」(刃先にわずかなふくらみを持たせる研ぎ方)も紹介されていますが、高度な技術が要り初心者向けではない、という説明でした。家庭のゴールは「普通に切れる状態に戻す」で十分。プロの技はプロに任せると割り切りましょう。

疲れた平日の夜には研がない

疲れているときの研ぎは角度がぶれやすく、気持ちも雑になりがちです。その結果「やっぱりわたしには無理」と、砥石をしまい込むことになります。

研ぎは、気力が少し残っている週末の午前中など、失敗してもいい時間にやる。平日の夜は研ぎ器を使うか、カット野菜で切る工程そのものを減らす。この線引きが、いちばん長続きしています。

明るいキッチンで、砥石に当てた包丁を両手で支えながら研いでいる手元
※画像はAIによるイメージ

プロに包丁研ぎを頼むときは何を確認する?料金はいくら?

プロに頼むときは、依頼前に公式の案内で「受付方法・戻るまでの期間・対応できる包丁・料金」の4つを確認しておくと安心です。料金はお店ごとの差が大きく改定もあるので、この記事では金額を書かず、確認のしかたをまとめます。

依頼前に確認したい4項目

  • 受け付け方:店頭に持ち込むのか、郵送なのか
  • 戻ってくるまでの期間:その間の段取りを考えるため
  • 対応できる包丁の種類:和包丁・波刃・セラミック・他社製品に対応しているか
  • 料金:包丁の種類や長さ、刃こぼれの有無で変わることが多い。送料が別になるかも含めて公式で確認

料金を見るときは、「基本料金」に刃こぼれ修正などの追加料金が乗るかどうかも見ておくと、届いた見積もりに驚かずに済みます。

老舗刃物店や包丁メーカーが窓口になる

身近な窓口の一つが、老舗の刃物店や包丁メーカーです。先ほどの三越伊勢丹の特集では、木屋の売り場で包丁の選び方や研ぎの相談ができると紹介されていました。売り場や受付の状況は特集公開時点(2023年11月)の情報なので、訪ねる前に最新を確認してください。

堺一文字光秀も、家庭の包丁の研ぎ直しを受け付けていて、長く使っていなかった包丁や形が崩れた包丁も相談できると案内しています。セラミック包丁は、包丁メーカー自身が研ぎ直しの窓口を設けていることもあるので、まずメーカーの案内を見るのが早道です。

預けている間の夕飯と、時期の選び方

意外と見落としがちなのが、包丁を預けている間の夕飯です。包丁が1本しかない家庭は、キッチンばさみで乗り切る、カット野菜や下味つきの肉を多めに買っておく、切る工程がほとんどないミールキットや惣菜の日を増やす、と預ける前に決めておくと慌てずに済みます。

時期は、お正月用のかたまり肉や根菜を切る機会が増える年末の直前を避け、早めに出すのが安心です。「いつか研がなきゃ」を「この時期に出す」に変えておくと、ずるずる先延ばしにならずに済みます。


まとめ:包丁研ぎは、包丁の状態と自分の気力で選んでいい

包丁研ぎは、丸まった刃先を削って形を作り直す作業です。研ぎ器はその場をしのぐ道具、砥石は切れ味を立て直す道具、プロは壊れたものや特殊な包丁まで任せられる窓口で、それぞれ役割が違います。

選び方の目安を、包丁の状態と気力の2軸で整理しておきます。

  • 平日で時間も気力もない:研ぎ器でしのぐ、または切る工程を減らす
  • 両刃のステンレス包丁で、週末に少し余裕がある:中砥石1本で、5工程を試してみる
  • 刃こぼれ・形崩れ・片刃の和包丁・波刃・セラミック・大切な包丁:プロやメーカーに相談する

どれを選んでも正解です。トマトがつぶれたり、玉ねぎで涙が出たりしたら、それは研ぎどきの合図。切れる包丁が1本あるだけで、夕飯の「もう無理」が一つ減ります。あなたの暮らしに合う方法で、無理なく続けてみてくださいね。


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切れ味が戻ると、刻む作業そのものが軽くなります。みじん切りを早くする方法|包丁の動かし方とそろえるコツでは、研いだ包丁で手を動かすときのコツをまとめています。研ぐ前後で洗い物の手も変わるので、洗い物の手荒れ防止|ハンドクリームと手袋の使い分けと、下ごしらえの便利グッズと調理器具|使い続けられる道具の選び方もあわせてどうぞ。

よくある質問

包丁研ぎ器(シャープナー)だけでも大丈夫ですか?

一時的に切れ味を整えるには役立ちます。ただ木屋の説明では、溝に通すタイプは刃をこする道具で、効果は長続きしにくいとされています。藤次郎も、たまにしか研がないなら砥石のほうが効果があるという趣旨です。切れ味が戻らなくなったら、砥石かプロで立て直しましょう。

セラミック包丁は自分で研げますか?

とても硬い素材なので、一般的な砥石では研げないとされることが多いです。ダイヤモンドを使った専用の研ぎ器が必要だったり、メーカーが研ぎ直しを受け付けていたりするので、まず包丁メーカーの案内を確認してください。

刃が欠けた包丁は自分で研げますか?

刃こぼれを直すには目の粗い荒砥石で刃全体を削り直す必要があり、家庭では難易度が高めです。無理に研ぐと形を崩してしまうこともあるので、刃物店やメーカーの研ぎサービスに相談するのが安心です。

この記事を書いた人
杉本千夏

気力がゼロの日でも、食卓が回る。その形をお届けしたくて、このサイトをやっています。

毎日のお仕事と夕飯づくり、おつかれさまです。フルタイムで働きながら子育てをしている杉本です。もともと料理が苦手で、帰宅後の夕飯づくりに毎日絶望していました。凝ったことをやめて「どうにか今日を乗り切る」段取りだけを集めるようにしたら、少し楽になった気がします。

紹介する情報は、公式の表記や公開されている事例を確かめてから書いています。確かめられない数字は書きません。合わない方のことも、正直にお伝えします。

記事の中で「ここ違うのでは」と思われたら、ぜひ教えてください。

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