包丁の種類は「洋包丁・和包丁・特殊包丁」の3グループで覚えれば十分です。家庭の最初の1本には、両刃の三徳包丁が無難です。
選ぶときは、①刃の付き方は両刃 → ②刃渡りはまな板の奥行きより短い → ③素材はすぐ拭けない日があるならステンレス系、の順に見れば迷いません。
はじめまして、共働きごはんの段取りナビゲーターの杉本千夏です。フルタイムで働きながら子育てをしていて、もともと料理は大の苦手でした。
売り場で牛刀・ペティ・菜切り・文化包丁……と並ぶ名前を前に、わたしも立ち尽くしました。この記事は、そんな「疲れた平日に使う包丁を選びたい人」の目線で書いています。読む時間の目安は10分ほどです。気になる見出しだけ拾い読みしても大丈夫ですよ。
包丁の種類はいくつある?「洋包丁・和包丁・特殊包丁」の3グループで覚えよう
370種類以上あっても、3つの箱に分ければ足りる
岐阜関刃物会館のサイトでは、370種類を超える包丁を扱っていると案内されています(取扱数は時期によって変わることがあります)。
これを丸ごと覚えるのは無理ですし、その必要もありません。まずは次の3つの箱に分けてしまいましょう。
- 洋包丁:肉・魚・野菜をこなす万能型が中心(三徳・牛刀・ペティなど)
- 和包丁:魚用・野菜用など、食材ごとに特化した専門型が中心(出刃・柳刃・薄刃など)
- 特殊包丁:パン・餅・寿司・うなぎ・冷凍食品など、特定の食材のための包丁
家庭の夕飯で主役になるのは、ほぼ洋包丁です。和包丁と特殊包丁は「必要になったら調べる棚」と考えて大丈夫です。
柄の作りは「見分けのヒント」くらいに考える
和包丁は、刃の根元にある「茎(なかご)」という棒状の部分を、木の柄に差し込む作りが基本です。刀剣ワールドの解説でも、この点が和と洋の違いとして紹介されています。
洋包丁には、柄を「鋲(びょう)」という金属の留め具で固定したタイプがよくあります。柄の横に丸い鋲が並んでいれば、洋包丁の可能性が高いと見てよいでしょう。
ただし、樹脂で一体成形した柄や、柄まで金属のオールステンレスの洋包丁には、鋲が見えないものもたくさんあります。鋲が無いから和包丁、とは言えないので注意してくださいね。
迷ったら、パッケージの「三徳」「牛刀」「出刃」といった種類名を見るのが一番確実です。
わたしが売り場で最初に見るのは「両手のふさがり方」
ここまで分類の話をしましたが、わたしが実際に売り場で真っ先に考えるのは、「この包丁を持つとき、もう片方の手は何をしているか」です。
疲れて帰った日の台所は、片手に食材、片手に包丁、頭の中は明日の段取り。そこで「この包丁はどう持つんだっけ」と考える余地は残っていません。
だからわたしは、分類で「洋包丁」の箱に入るものから選ぶようにしています。手に取った瞬間に使い方が分かる包丁が、平日の味方なんですよね。
片刃と両刃の違いとは?家庭用で一番大事な分かれ道
家庭用は左右兼用の「両刃」が失敗しにくい
片刃は片側だけに刃が付いたもの、両刃は両側から刃付けしたものです。藤次郎の解説でも、両刃は左右兼用で扱いやすく家庭向けと整理されています。
利き手を問わず、まっすぐ下ろせば素直に切れる。毎日使う1本としては、これが一番の安心材料ですよね。
片刃が「プロ向け」と言われる理由
片刃は、まっすぐ切るのにコツがいる反面、断面をきれいに仕上げられるのが持ち味です。刺身の角がピンと立つのは、片刃のおかげなんですね。
刃の向きが利き手と関わるので、左利きの人は左利き用を選ぶ必要があります。和包丁の専門店に左利き用の出刃や柳刃が別に並んでいるのは、このためです。
ちなみに刀剣ワールドの解説によると、刃物の産地として知られる大阪府の堺は片刃作り、岐阜県の関は両刃作りが得意とされています。
両刃なのに斜めに切れるのは、たいてい体の使い方
「両刃を買ったのに、玉ねぎがどうしても斜めになる」。これはわたしが最初にぶつかった壁でした。
原因を探ると、思い当たるのは次の4つでした。
- 立ち位置が斜め:まな板に対して体が横を向いていると、刃も自然と傾きます
- 手首が内側に倒れている:疲れている日ほど手首が寝て、刃がまな板に垂直に下りません
- 上から押しつぶしている:前に滑らせず真下に押すと、刃が逃げて斜めになります
- 切れ味が落ちている:力で押し切ることになり、刃先がぶれやすくなります
この中で、わたしに一番効いたのは立ち位置でした。手首やコツを意識しようとしても、疲れた日は忘れてしまうんです。
でも「おへそをまな板の真ん中に向ける」だけなら、考えなくても毎回できます。体を正面に向けたら、手首も自然と立ちやすくなりました。
わたしはこう選ぶ:迷ったら「両刃」と書いてあるものだけ見る
売り場では、刃の付き方が書いていない包丁を候補から外しています。「両刃」と明記されたものだけを見れば、そもそもの選択肢がぐっと減るからです。
選択肢を減らすのも、立派な段取りですよ。
家庭用包丁の種類一覧|三徳(文化包丁・万能包丁)・牛刀・ペティ・菜切りは何が違う?
家庭の3本柱は「三徳・牛刀・ペティ」
家庭でよく使われる洋包丁は、汎用性の高い三徳、切り方が多彩な牛刀、小回りが利くペティの3つです。藤次郎ではこの3種を家庭の「3本柱」と位置づけています。
ここに、両刃の和包丁である菜切りを加えて表にしました。刃渡り(刃元から刃先までの長さ)は、藤次郎の解説にある標準の長さを基準にしています。
| 種類 | 刃先の形 | 刃渡りの目安 | 得意なこと |
|---|---|---|---|
| 三徳包丁 | 鎌型(刃先がゆるやかに下がる) | 16.5〜18cm | 肉・魚・野菜。家庭のメイン |
| 牛刀 | 剣型(刃先が鋭く尖る) | 18〜24cm(家庭向けは18〜21cmが人気) | 大きな食材、ブロック肉 |
| ペティナイフ | 剣型 | 12〜15cm | 皮むき・薬味・細かい作業 |
| 菜切り包丁 | 角型(刃先が四角い) | 16.5cm前後 | 野菜。四角い刃ですくえる |
※東京ガスの「ウチコト」では、使いやすい長さとして三徳18cm・牛刀20cm・ペティ12cm・菜切り17cmくらいを挙げています。どちらも目安なので、手の大きさやキッチンの広さで調整してくださいね。
ひと言でまとめると、家庭向けの三徳包丁は16.5〜18cm、ペティは12〜15cmが標準的な長さです。
三徳包丁と文化包丁・万能包丁の違いは?
三徳の「三つの徳」は、肉・魚・野菜の3つに使えることを指しています。東京ガスの「ウチコト」では、三徳包丁を「鎌型包丁」「万能包丁」とも呼ぶと紹介しています。
「文化包丁」という名前もよく見かけますよね。こちらは三徳包丁と同じものを指す呼び名として使われることが多い一方、刃先が尖った剣型のものを文化包丁と呼び分けている売り場やメーカーもあります。
つまり、呼び方は統一されていないんです。名前に振り回されず、刃先の形と刃渡りを見て選ぶほうが確実です。
三徳は刃のラインがまな板に対して直線的なので、上から押して切る「押し切り」が得意です。キャベツやかぼちゃのような、ぐっと力を入れたい食材と相性がいいですよ。
牛刀とペティは、名前に引きずられないのがコツ
牛刀は名前から肉専用だと思われがちですが、実際は肉・魚・野菜をこなす万能包丁です。三徳より細長く反りが強いので、刃先のカーブを生かして、弧を描くように動かすとなめらかに切れます。
ペティナイフの「ペティ」は、フランス語で「小さい」を意味する言葉が由来です。牛刀を小さくしたような形で、面取り(煮崩れを防ぐために野菜の角を削る下ごしらえ)や果物の皮むきが得意です。
菜切り包丁は、千切りキャベツを「すくえる」角型
菜切り包丁は和包丁ですが、両刃なのが特徴です。四角く薄い刃をしています。
この四角い刃は、切った食材をすくい集めるスクレーパーのようにも使えます。刻んだ野菜を手でかき集めずに、刃にのせて鍋へ移せる。地味ですが、ボウルを1つ減らせる動きなんですよね。
わたしはこう選ぶ:「切れ味」より「刃先が余らないか」
最初は「牛刀のほうがプロっぽくて、よく切れそう」と思っていました。
でも店頭で三徳と牛刀を握り比べてみると、牛刀は刃先が長く、構えた瞬間に「この先っぽ、家のまな板のどこに来るんだろう」と気を取られたんです。
牛刀は、弧を描いて動かせる広さがあって初めて生きる包丁なんだと分かりました。
そこからわたしは、「切れ味」より「自分のまな板で刃先が余らないか」を先に見るようになりました。具体的な測り方は、刃渡りの章でお伝えしますね。
和包丁の種類一覧|出刃・柳刃・蛸引・薄刃は家庭に必要?
魚を丸ごとさばかないなら、家庭では必須ではない
和包丁は多くが片刃で、菜切り包丁は例外的に両刃です。ただ、家庭向けに両刃に仕上げた出刃なども売られているので、買うときは刃の付き方を必ず確認してくださいね。
スーパーで切り身や刺身用のサク(刺身にする前の長方形のかたまり)を買うことが多いなら、和包丁がなくても夕飯は十分回ります。
和包丁・特殊包丁の早見表
代表的なものを1つの表にまとめました。「家庭での必要度」は、わたしが「疲れた平日に出番があるか」で判断した目安です。
| 種類 | 刃の付き方 | 主な用途 | 家庭での必要度 |
|---|---|---|---|
| 出刃包丁 | 主に片刃 | 魚をおろす・骨を断つ | 魚を丸ごとさばくなら |
| 柳刃包丁(刺身包丁) | 片刃 | 刺身を引き切る | 刺身をよく自分で切るなら |
| 蛸引(たこひき) | 片刃 | 刺身を引き切る(関東型) | 低め |
| 薄刃包丁 | 片刃 | 野菜の桂剥き・細工 | 低め |
| 骨スキ包丁 | 主に片刃 | 鶏などの骨から身を外す | 低め |
| パン切り包丁 | 両刃(波刃が中心) | パンをつぶさず切る | 毎朝パンを切るなら高め |
| 中華包丁(薄刃) | 両刃 | 野菜や肉を切る・刻む | 低め |
| 中華包丁(厚刃) | 両刃 | 骨付きの食材を叩き切る | ほぼ不要 |
| 筋引き包丁 | 両刃 | ブロック肉の筋取り・スライス | 低め |
| 冷凍包丁 | 両刃(ギザ刃が中心) | 凍った食材を切る | 低め |
| 餅切り・寿司切り・うなぎ裂き | 種類による | 特定の食材専用 | ほぼ不要 |
出刃・柳刃・蛸引・薄刃の要点
出刃包丁は和包丁の代表格で、江戸時代の堺が発祥といわれます。刃が厚く重さがあり、その重さで魚の頭を落とします。
東京ガスの「ウチコト」では、中型までの魚には刃渡り15〜17cm、鰹(かつお)や新巻鮭などの大きな魚には18cm以上が使いやすいとしています。重すぎるとかえって扱いにくい、という注意も添えられていました。
柳刃包丁は刺身包丁の一種で、刃全体を使って手前に一気に引いて切ります。短いものでも刃渡り20cmほどある、細長い包丁です。
蛸引は、関東で使われてきた刺身包丁で、先端が四角いのが特徴です。現在は全国的に柳刃が主流になっています。
薄刃包丁は野菜用の片刃の和包丁です。片刃なので、桂剥き(大根などを薄く長くむいていく技法)がしやすいのが持ち味です。
わたしはこう決めた:出刃は「休日の道具」
出刃や柳刃を調べていると、「ちゃんとした家庭は魚をさばけるもの」という声が聞こえる気がしていました。
でも今は、さばく工程はお店に任せていいと決めています。切り身を買うのも立派な段取りです。気力のある休日に「やってみたい」と思えたら、そのとき出刃を迎えれば十分ですよね。
特殊包丁の種類一覧|パン切り・中華・筋引きから冷凍包丁・食材専用まで
家庭で出番がありそうなのはパン切り包丁くらい
特殊包丁は、特定の食材や作業のために生まれた包丁です。家庭の夕飯で出番がありそうなのは、パン切り包丁くらいだとわたしは考えています。
それ以外は、「こんな世界がある」と知っておくだけで十分です。
家庭でも出番がある特殊包丁
- パン切り包丁:細かく波打った「波刃(なみば)」が特徴です。波刃がパンの表面に引っかかるので、上から押しつぶさずに切れます
- 筋引き包丁:牛刀より細長い両刃で、ブロック肉の筋を切り離したり、薄くスライスしたりします
- 冷凍包丁:ギザギザの刃で、凍ったままの肉や魚をのこぎりのように切るための包丁です
中華包丁は「薄刃」と「厚刃」で別物
中華包丁は、見た目が似ていても大きく2つに分かれます。
- 薄刃(菜刀):野菜や肉を切る・刻むための日常用。幅広の刃で、刻んだ食材をすくって運べます
- 厚刃(骨切り用):刃が厚く重く、骨付きの肉などを重さで叩き切るためのもの
東京ガスの「ウチコト」で、刃渡り22cmくらいの薄めのものが使いやすいとしているのは、家庭で使うなら薄刃タイプ、ということなんですね。
にんにくや生姜を刃の面でつぶせるのは、どちらにも共通する便利な使い方です。ただ、骨まで叩き切る機会はほぼ無いので、家庭で選ぶなら薄刃が現実的です。
食材ひとつのためだけに生まれた包丁
- 餅切り包丁:長い刀身の両端に柄が付いた、両手で押し切るタイプが特徴です
- 寿司切り包丁:刃が半円を描き、海苔巻きの具が飛び出しにくい工夫がされています
- うなぎ裂き:刀剣ワールドの解説によると、関東型・名古屋型・京都型・大阪型・九州型の大きく5種類があります
和包丁の専門店・實光(じっこう)の分類では、関東型の「江戸裂」は背開き向き、関西型の「鰻裂」は腹開き向きとされています。食文化の違いが、そのまま包丁の形になっているんですね。
専用の包丁があると知って、肩の力が抜けた
お餅がうまく切れない、海苔巻きがつぶれる。わたしはずっと、それを自分の腕のせいだと思っていました。
でも専用の包丁があるということは、家庭の1本で全部をきれいにこなせなくて当たり前なんですよね。スライス済みの食パンを買う家庭なら、パン切り包丁も無理に増やさなくて大丈夫です。
包丁の刃渡りはどう選ぶ?家庭で使いやすい長さの目安
基準は「まな板の奥行きより短い刃渡り」
わたしが売り場で一番頼りにしている基準は、まな板の奥行き(手前から奥までの長さ)より短い刃渡りを選ぶことです。
刃渡りがまな板からはみ出すと、刃先が壁や水切りかごに当たりそうで、毎回ヒヤッとします。
売り場に行く前の「30秒の段取り」
失敗を減らすために、わたしは買いに行く前に次のことをしています。
- まな板の奥行きをメジャーで測って、スマホにメモする
- まな板の奥に何があるかを見る(壁・コンロ・水切りかごなど)
- 今の包丁で「ヒヤッ」とする場面を思い出す
奥に壁がある台所なら、刃渡りはメモした数字より少し余裕を持たせて選ぶと安心です。売り場で刃渡りの表示とメモを見比べるだけなので、悩む時間がかなり減りますよ。
長めが向いている人・短めが向いている人
- 長めが向いている人:キッチンが広い/大きな食材を一度に切る/牛刀の弧を描く切り方に慣れたい
- 短めが向いている人:キッチンやまな板が小さい/手が小さい/包丁にまだ不安がある
家庭向けの牛刀で18〜21cmが人気なのも、日本の台所の広さを考えると自然な範囲だと感じます。
「長いほうがよく切れる」は思い込みだった
最初は、長い包丁のほうがスパッと切れると思い込んでいました。
でも疲れて帰った日に効いてくるのは、切れ味よりも「怖くないか」でした。小さなヒヤッが積み重なると、それだけで「もう切りたくない」につながるんです。
今は怖くない長さこそ、疲れた日に一番手が速く動く長さだと思っています。
包丁の素材の種類は?鋼・ステンレス・セラミックの違い
一般家庭は錆びにくいステンレス系が無難
刃の素材は、大きく「鋼(はがね)」「ステンレス」「セラミック」の3つに分けられます。藤次郎の解説では、一般家庭には錆びにくく手入れが楽なステンレス系の刃物鋼が最適としています。
| 素材 | 特徴 | お手入れの手間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 鋼(はがね) | 切れ味が鋭く研ぎやすい | 錆びやすく、使ったらすぐ拭く必要あり | 研ぎや手入れを楽しめる人 |
| ステンレス | 錆びにくく、硬質鋼材なら切れ味もよい | 比較的ラク | 洗ってすぐ拭けない日がある人 |
| セラミック | 刃全体がセラミックのものと、表面コーティングのものがある | 研ぐ道具を選ぶ | 軽さを重視する人 |
鋼の種類「白紙・青紙・銀紙」はここだけ押さえる
和包丁や鋼の包丁を見ていると、「白紙(しろがみ)」「青紙(あおがみ)」という名前によく出会います。これは刃物用の鋼材の呼び名です。
- 白紙:不純物を抑えた鋼で、研ぎやすく鋭い刃が付きやすいとされる
- 青紙:白紙に別の成分を加えた鋼で、刃持ちのよさや粘りを高めたものとされる
- 銀紙:こちらは錆びにくいステンレス系の鋼材
どれも同じ名前の中でさらに「1号」「2号」などに分かれています。家庭で初めて鋼を選ぶなら、まずは「白紙と青紙はどちらも錆びる鋼、銀紙はステンレス」とだけ覚えておけば十分です。
鋼を選んでいいのはどんな人?
鋼の包丁は、水分や塩分が付いたまま放置すると、短い時間でも変色や錆が出やすい素材です。
わたしがステンレスの三徳を中心にしているのは、ここが理由です。夕飯のあと、子どもに呼ばれて包丁を濡れたまま置きっぱなしにする場面が、どうしても出てくるんですよね。
逆に言えば、使ったらその場で拭く習慣がある人、研ぐ時間を楽しめる人なら、鋼は十分に選択肢になります。切れ味を優先するか、放置への強さを優先するか。素材選びは、自分の夜の動き方で決めていいと思います。
割込・ダマスカスと「硬さ」の見方
包丁向けの硬いステンレス鋼として、岐阜関刃物会館の解説ではモリブデン鋼やVG10などが挙げられています。作りの名前もいくつか覚えておくと、売り場で迷いません。
- 割込(わりこみ):切れ味のよい鋼材を芯にして、両側を錆びにくいステンレスで挟んだ作り
- ダマスカス鋼:芯材の上に異なる鋼材を何層も重ね、模様が出るように仕上げたもの
- オールステンレス:柄までステンレスのタイプ。丸洗いしやすく衛生的
包丁によっては、硬さが「HRC(ロックウェル硬さ)」という数値で表示されています。一般に数値が高いほど刃持ちはよくなる一方、欠けやすさや研ぎにくさにもつながる傾向があります。
HRCは表示しているメーカーとしていないメーカーがあり、同じ数値でも鋼材や熱処理で使い心地は変わります。数値だけで比べるより、「研ぎやすさ重視か、刃持ち重視か」を店員さんに伝えて選ぶほうが、初めての1本では失敗が少ないですよ。
柄の素材も、洗い方で選ぶ
見落としがちですが、柄の素材も毎日の手間に直結します。
- 木の柄:手になじみやすい一方、水分を吸いやすく、乾かす手間がかかります
- 樹脂の柄:水に強く、手入れが比較的ラクです
- 積層強化木:木材に樹脂をしみ込ませて固めたもので、木の風合いと水への強さを両立させたもの
- ステンレスの柄:刃と一体なので継ぎ目が少なく、丸洗いしやすいタイプです
わたしは、柄と刃の継ぎ目に汚れがたまりにくいかを、刃の素材と同じくらい大事に見ています。洗う手間は、疲れた夜ほど重くのしかかるからです。
価格はどう考える?
価格は日々変わるので、具体的な金額はここでは書きません。傾向としては、オールステンレスや樹脂の柄のシンプルな三徳は手に取りやすく、割込やダマスカスのように手間のかかる作りほど価格は上がります。
1本目は、上の価格帯を狙うより「毎日使えるか」を優先して大丈夫です。最新の価格は各販売ページで確認してくださいね。
セラミックと研ぎ方の注意
刃全体がジルコニア(セラミックの一種)の包丁は、ダイヤモンド砥石でないと研げません。一方で、ステンレスに窒化チタンをコーティングしたものは、合成砥石で研げるとされています。
家庭で研ぐなら、一般的には合成砥石の中砥(なかと)が扱いやすいとされています。本格的な砥石が難しければ、簡易研ぎ器もあります。砥石ほど鋭い刃はつきにくいものの、三徳や牛刀の日常の手入れには便利です。
結局、家庭に必要な包丁は何本?気力と暮らしに合わせた組み合わせ方
まずは「三徳+ペティ」の2本から
藤次郎の解説では、三徳+ペティを鉄板の組み合わせとし、ワンランク上なら牛刀+ペティ、用途に応じて菜切りやパン切り包丁を足すと快適としています。
大きい食材は三徳で、薬味や果物はペティで。この2本で、家庭の夕飯の大半はカバーできます。
暮らし別の選び方
- 気力ゼロの日が多い:三徳1本。洗うのも1本で済みます
- 果物や薬味をよく切る:三徳+ペティ
- キッチンが広く、ブロック肉をよく扱う:牛刀+ペティ
- 毎朝パンを切る・野菜を大量に刻む:上の組み合わせにパン切りか菜切りを1本足す
- 魚を丸ごとさばいてみたい:休日用に出刃を検討
「包丁を増やせば楽になる」は逆だった
最初は、専用の包丁をそろえれば料理が楽になると思っていました。
でも実際は、本数が増えるほど「どれを使うか」「どこにしまうか」の判断が増えて、疲れた日のハードルが上がったんです。三徳+ペティが鉄板と言われるのは、切れ味の話だけでなく、この「判断の少なさ」の意味でも正しいと感じています。
だから今のわたしの基準は、疲れた平日に出す包丁は1本だけ。2本目以降は「気力がある日の道具」と割り切っています。
食洗機に入れたいなら、買う前に必ず確認を
洗う手間まで減らしたいなら、食洗機に対応しているかも見ておきたいポイントです。
一般に、鋼のように錆びやすい素材や、木の柄の包丁は食洗機に向かないとされています。オールステンレスや樹脂の柄の包丁には対応品が多いものの、すべてではないので、パッケージや取扱説明書で必ず確認してくださいね。
そもそも包丁を出したくない日は、カット野菜や食材宅配のミールキットに頼る日を、最初から段取りに入れておくのも一つの手です。
まとめ|包丁の種類は「役割」で覚えて、選び方は自分の台所で決めよう
包丁の種類は、洋包丁・和包丁・特殊包丁の3グループに分けると一気に整理できます。
家庭の主役は洋包丁で、三徳・牛刀・ペティが3本柱です。文化包丁や万能包丁は三徳と同じものを指すことが多いものの、呼び方は統一されていないので、名前より刃先の形と刃渡りで選びましょう。
選ぶときの順番は、次の3つです。
- 刃の付き方:家庭なら左右兼用の両刃
- 刃渡り:まな板の奥行きより短いもの
- 素材:すぐ拭けない日があるならステンレス系、手入れを楽しめるなら鋼も候補
時間も気力もない時期なら、三徳1本で十分です。少し余裕が出てきたらペティを足し、休日に魚をさばいてみたくなったら出刃を迎える。そんなふうに、暮らしに合わせて増やしていけばいいんです。
和包丁や特殊包丁は、「その作業を自分がするか」で必要かどうかが決まります。持っていないことを気にする必要はありません。
包丁は、100点の料理のための道具というより、毎日の夕飯を回す仕組みの一部です。あなたの台所に合う1本が見つかりますように。
詳しくは「三徳包丁は本当に万能?1本目に選ばれる理由と苦手な食材を正直に解説」が参考になります。
よくある質問
1本目の包丁の予算はどう考えればいい?
オールステンレスや樹脂の柄のシンプルな三徳は手に取りやすく、割込やダマスカスなど手間のかかる作りほど価格は上がる傾向があります。1本目は高価なものより、毎日気軽に使えて洗いやすいものを優先するのがおすすめです。最新の価格は販売ページで確認してくださいね。
包丁はどのくらいの頻度で研げばいい?
決まった周期より、「トマトの皮に刃が滑る」「玉ねぎが斜めになりやすい」など、切れ味の落ちを感じたときが目安です。砥石が難しければ、簡易研ぎ器でこまめに手入れするだけでも使い心地は変わりますよ。
左利きでも使える包丁の種類は?
両刃の包丁なら左右兼用で使えます。三徳・牛刀・ペティ・菜切りなど家庭向けの包丁は両刃が中心です。出刃や柳刃などの片刃の和包丁は、左利き用を選ぶ必要があります。


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